「第53回全国大会のご案内」
統一論題
「経営理念を基軸とした企業経営と人間力―人間性と合理性の調和を求めて―」
大会実行委員長 小原久美子(県立広島大学)
実践経営学会第53回全国大会は、実践経営学会中国・四国支部会と広島県社会保険労務士会協賛により、広島駅から路面電車で20分ほどにあります「広島県情報プラザ」を会場として、2010年9月10日(金)~12日(日)の日程で開催されることになりました。9月10日は、広島県下の企業見学等および理事会を予定しております。そして、9月11日、12日は「広島県情報プラザ」にて全国大会を開催する予定となっています。
ところで、実践経営学会全国大会を広島で開催するのは本年が初めてのことであります。全国大会を通じて、広島ならびに中国・四国地域のよさを会員の皆様に知って頂く絶好の機会を得たことに深く感謝申し上げます。また、会員の皆様がせっかくご参加頂くからには、その期待に充分応え満足して頂けるように大会実行委員一同、決意新たに準備に取り組んでいるところです。どうぞ、多くの会員の皆様のご参加をお待ち申し上げております。そして、有意義な大会になるように祈願申し上げます。
本大会の統一論題は、「経営理念を基軸とした企業経営と人間力―合理性と人間性の調和を求めて―」というテーマにいたしました。経営学を経営組織の観点から考えるのが経営組織論でありますが、バーナード(Barnard,C.I)は、まず、人間とは何か、人間個々人から出発しました。そこにおける個人とは、「個人の行動」を強調するものあり、極めて実践的な存在としての個人を意味しています。そして、個人は社会的に創造された複雑な価値的統合物であり、その中で行動を自ら意思決定しうる主体的な存在として取り扱われております。しかし、個人は価値的にも意識的にも合理性の面においても不安定な存在であり、それでも、個人の行動は主体的行動として取り扱われなければならないとされています。つまり、バーナードの関心は、古典的な支配―被支配の関係ではなく、貢献―非貢献の関係で、いかに客体を支配するかではなく、いかに複雑で不安定な主体から貢献を確保するかにあります。
ところが今日の世界的規模での金融恐慌、それに伴った不況の波は当然のことながらわが国の企業経営のさまざまな側面において大きな打撃を与え、特に、失業問題はもはや社会問題と化し、ややもすれば合理化一辺倒に偏った企業経営の下で、人間個人の尊厳を軽く見る意識を植え付けています。また、地球環境問題は、われわれ1人ひとりの日常生活において身近に感じられるものとなり、企業経営においても最も重要な戦略課題となっています。
このような現代社会の環境状況において、さらに深刻さを増すものとして、企業不祥事の多発化が常態化しているように思えてなりません。
ここで今一度、企業経営の目的や理念・存在意義について再考し、現代のグローバル化した社会と企業経営との関わり方について再考すると共に、「企業は人なり」という基本に立ち返り、企業の組織内部における人間性と合理性の調和を求め、人間個々人の尊重の上に支えられた企業経営を実践することで、組織における個人と全体とがともに成長・発展・進化しうるような、これからの企業経営を考えていきたいと思います。
そして、地球的規模での世界の人々が幸福でかつ健全でしかも平和な社会実現のために企業は何をすべきかを、ここ「広島の地」から学び、それを世界へ発信していきたいと思います。
さて、広島県は2大世界遺産、原爆ドームと宮島厳島神社がある土地柄です。この偉大な世界遺産を一目見ようと、世界各国の人々が訪れるグローバルな土地柄でもあります。是非、実践経営学会全国大会にご参加され、大会参加後にご観光されることをお勧めいたします。どうぞ、広島へ是非お越し下さいますようお願い申し上げます。